LOVEさぬきさんリポート LOVE SANUKISAN REPORT

夏休みにもおすすめ女木・男木(高松市)エリア

夏になれば、海が恋しくなります。ファミリーで、グループで楽しく繰り出したい夏の海。
香川県には、そんなマリンレジャーにおすすめの浜がたくさんあります。美しい松原や銭形が有名な観音寺、遠浅の浜が有名な仁尾、万葉集にも歌われた沙弥島、恋人の聖地・庵治、歴史の松原やドルフィンも泳ぐ津田、キャンプ場も近い引田、また島に渡ればリゾートアイランド・小豆島をはじめ、アートの島・直島、塩飽水軍で有名な本島、ウミホタルの粟島など、おすすめのポイントがたくさん。
中でも高松港の沖に浮かぶ女木島は、環境省の快水浴場百選にも選ばれた美しい海が自慢。
また灯台が旅情を誘う男木島も人気スポット。今回は、この女木島・男木島の2つの島を訪ねます。

サンポート高松から雌雄フェリーでGO!

高松港の沖に浮かぶ、女木島と男木島。古くはどちらも源平合戦にゆかりの島といわれ、那須与一が射落とした扇が流れ着いたので、その「おうぎ」の島から「男木島(おぎじま)」。
壊れた扇の一部が流れ着いたので、壊れたという意味の讃岐弁「めげた」から「女木島(めぎじま)」と名付けられたと言われています。
どちらも瀬戸内海に浮かぶ叙情豊かな島ですが、高松港から雌雄(しゆう)フェリーに乗ってわずかな時間で到着します。手軽に味わえる島気分は、夏にはいよいよ人気。それでは、まずサンポート高松のフェリー乗り場に急ぎましょう。高松港の第一浮桟橋のたもとに切符売り場があります。一日女木・男木まで冬季以外は6便のフェリーがあります(8月1日~20日は女木まで12便)。フェリーと言っても、車はわずかしか乗ることができません。また島の道は細いので、徒歩がおすすめ。港から、船に乗って女木島まで約20分、さらに男木島まで約20分。赤い船体のフェリーが島旅にいざなってくれます。(男木島行きの切符で、女木島で途中下船はできないのでご注意を)

雌雄フェリー 電話 087-821-7912

世界でも珍しい“鬼の灯台”

高松港から出港すると、行き交う船や港の風景にうっとり。サンポート高松のホテルや超高層タワーがリゾート気分を高めてくれます。やがて近づく世界初のクリスタル灯台「せとしるべ」。この灯台を過ぎれば、緑の女木島にどんどん迫って行きます。ここ女木島の別名は「鬼ヶ島」。あの桃太郎伝説の鬼がすんでいた島と言われています。そこで、女木の港では、世界でもおそらくここだけといわれる鬼の灯台が迎えてくれます。
到着するのはフェリー乗り場をかねている「おにの館」。洞窟(どうくつ)に向かうバスの待合所でもあり、観光案内所にもなっています。フェリーの到着に合わせて、洞窟行きのバスが出るので、乗り遅れのないように。

おにの館 電話087-873-0728

おにの館から出発

到着した「おにの館」は、食堂や待合所の「鬼の市」と資料展示室の「鬼の間」に分かれています。のれんをくぐって入る「鬼の間」(入場無料)には、女木島や鬼伝説の資料があり、桃太郎の絵本を集めたコーナーも設けられています。また、巨大なスクリーンでは地元の民話「七鬼往来」を上映します。 「鬼の市」の食堂(火曜定休)は、昼食を取る人も多く、島の人もよく利用する気軽な食堂です。ここでの一番人気は、アカニシ貝のおでん。新鮮な貝のこりこりとした歯ざわりがたまりません。海水浴に来た人にも人気のメニューです。

おにの館 電話 087-873-0728(無休 8時~17時30分 夏季は18時まで)

オーテと鬼の石像

鬼の館を出て、周囲を散策すれば、変わった風景が見えてきます。まず、食堂側の庭に立っているのが巨大なモアイ像。
これは香川県にある重機メーカー・タダノさんがイースター島のモアイ像を復元する際に試作用に造った像とのこと。記念撮影の人気スポット。また、島の風景として有名な石垣は「オーテ」。冬の強い海風から家を守るためのもので、季節の良いころには、石垣と花の風景を見ることができます。ところどころで指さしているのは、鬼の標識。かわいい姿で島の道案内をします。

鬼ヶ島の旬をいただく

鬼の館から山手に徒歩5分、食堂「鬼旬(きしゅん)」があります。路地を抜ければすぐですが迷う恐れがありますので、まずはおにの館を出てモアイ象の方向へ進み、浜の八幡さんの手前の道を山に向かって上がります。すると、右手に見える住吉神社。このすぐ下にあるのが「鬼旬」さんです。一見民家のようですが、玄関横の看板が目印。
ご主人の松内さんは女木島の出身。大阪の料亭で腕をふるっていましたが、日本一の魚の宝庫、瀬戸内海の旬の魚をおいしく食べてもらいたいと、2年前に島に帰ってお店を開きました。この店のお昼を食べたいと島に来る人も多いというほど、今では評判のお店です。夏のおすすめは、小魚のほかにワタリガニやイカ。お昼の日替わり定食でイカ丼定食も登場する予定とか。また、季節を問わず女木島の名物にしたいというのが、コノシロの空揚げ。細かく包丁を入れ、ていねいに調理したコノシロは骨ごといただけます。魚嫌いの子どもさんも、きっととりこになるおいしさ。一度は食べてみたい島の味です。この日の定食メニューは、コノシロの唐揚げ、サザエの壺焼き、ベイカの煮物、ニベの刺身、白子の入った味噌汁。昼食には十分すぎるほどのごちそうでした。なお夜は予約のみ、昼も念のため電話を入れてから行きましょう。また、ご実家は女木島の民宿「龍宮(電話087-873-0205)」。夏はそちらも大人気。団体(30名まで)の受け入れも可能です。

電話 087-873-0880(木曜定休 昼11時~14時)

海に入る太鼓台

「鬼旬」さんのすぐ上にある「住吉神社」は海の神様。緑に包まれた境内からは海が望めます。大祭は2年に1度、太鼓台が海の中に入って行くことで有名です。今年2009年はその開催年。8月1日(土)、2日(日)に、待望の夏祭りが開催されます。

女木島パワーのもと

住吉神社のすぐ前に、ニンニク畑がありました。これを育てているのが、高岸弥一さん。県庁を退職してから本格的に島で農業に取り組み、現在は女木島農業の第一人者です。島で一番農作物を多く栽培する高岸さんに、一年間の栽培スケジュールを伺いました。まず早春のナバナにはじまって、春のニンニク、初夏の豆類、夏のトウモロコシ、秋の落花生、冬には水仙の花と続きます。特に栽培面積が多いのは4月下旬から5月上旬に収穫するニンニク。たいていの産地は乾燥ニンニクですが、女木島は収穫量も少ないので生で出荷します。かつては島でも30人くらい手がけていたニンニクも、高齢化が進み中国産に追われ、栽培農家が減少。現在は8人ほどで、JAを通じ東京市場に出荷しています。ニンニク畑の後は、青刈トウモロコシが植えられ、土作りをしています。夏には丹精込めた甘いスィートコーンを収穫できます。これは、女木島のゆうパックで流通しています。

以前は、農業改良普及センターにも勤務していたという高岸さんに、女木島農業の歴史も教えてもらいました。雨の少ない女木島には、およそ30ものため池があります。明治初期からため池が造られ、それから稲作も行われるようになりましたが、現在はまた激減してしまいました。その昔、島の換金農業といえば養蚕でしたが、人絹の出現で葉タバコの栽培に変わり、今ではそれも廃れてしまいました。また、島の黒牛も有名で、高松へ借耕牛(かりこうし)として出し、代わりに米3俵もらっていたそうです。その牛のたい肥で畑を耕し、イモを育て、そのイモのツルを牛のエサにと循環農業を行っていたとか。戦後は、その牛が乳牛に変わり、養鶏も行われていました。おいしくて栄養価が高い島のタマゴは大阪でも大評判。高い値段で売れたそうです。もみがらを入れた木箱に大事にタマゴを並べ、大阪や高松に出荷されていました。実は大正12年生まれという高岸さん。その若さの秘密は、ボランティア活動と島のニンニクにあるようでした。

快水浴場とキャンプ場

住吉神社の前の道を浜に降りれば、東に向かって「鬼ヶ島海水浴場」が広がります。ここは、環境省の快水浴場百選にも選定された快適な海岸。水質は毎年極めて良好の「AA」を獲得しているそうです。夏にはお店や海の家もオープンしてにぎわい、そのすぐ前の松原は「女木島キャンプ場」になっています。また、渚の遊歩道を進めば、その先に県営野営場もあります。 この女木島キャンプ場は、高岸さんが代表を務める「女木老人クラブ」が7月上旬から9月下旬まで管理しています。

問い合わせ 高岸さん電話087-873-0402

夏にはマナガツオやワタリガニ

早朝5時過ぎ、高松市瀬戸内町にある香川県魚市場。その水産物北棟に小さな船が着岸します。女木島や男木島から水揚げされたばかりの魚介類を運んでくる船です。現在女木島で漁業に従事しているのは33軒。夜に漁を行い、生け簀に入れておき、早朝の4時ころ生き締めにして漁協に出荷。一隻の運搬船に積み込まれ、魚市場に運ばれます。漁法としては、ゲタやカレイが捕れる底引き網(袋状の網を引っ張って海底の魚を捕る)、魚を編み目にからませるなどする刺網(さしあみ)、これにはメバルなどを捕る建網やサワラなどを捕る流し刺網などがあります。また夏が旬のマナガツオなどは、込まし網といって袋状の網を固定して魚の群れを待ち受けるという漁法を使います。

取材に行った日は、前日に風が強く、いつもより随分水揚げが少なかったそうですが、発泡スチロールの箱の中には、いろいろな物が入っていました。サワラ・サゴシ・タコ・タイ・ゲタ・カレイ・チヌ。ほかにも、イカの姿がありましたが、瀬戸内海ではヤリイカ、ヤケイカ、モンゴイカ、ミズイカ、ハリイカ、シリアゲイカ、ベイカ、スルメイカなどが捕れるそうです。幻の高級魚といわれるアコウ(キジハタ)も水揚げされ、高値で販売されるとのこと。高級料亭でしか出合えないというアコウは、上品な白身で煮付け、刺身、鍋と何にしても絶品だそうです。
また、香川県水産試験場が人工生産の研究に取り組み、平成13年に全国で初めて約7万尾の稚魚の生産に成功したというタケノコメバルの姿も見えました。これは、関西でタケノコの出る時期に多く収獲するのでこの名前がついたもので、通常のメバルより歯ごたえがあり、煮付け、塩焼き、から揚げ、汁ものに適し、大きい物は刺身でも絶品。生産した稚魚を県内各地で放流しているので、水揚げが増えることが期待されています。「讃岐でんぶく」と名付けられたナシフグも見えました。夏には、マナガツオやワタリガニが旬。この味を求めて島を訪れる人も大勢いるそうです。また、一回り小さな男木島からの運搬船には、こうした魚のほかに、サザエやアワビといった貝類もありました。

問い合わせ 女木島漁協 電話087-873-0204

バスに乗って洞窟へ

再び女木島に戻り、島巡りを続けましょう。次は、おにの館前から出発する洞窟行きのバスに乗ります。高松からの船の到着時間に合わせてバスが出るので乗り遅れないように。バスの切符(大人往復600円)は、館内のカウンターで発売していますが、乗り遅れそうならバスを降りるときでも大丈夫です。歩いて上がる人もいますが、山上に向かって約2.5キロありますので、時間に余裕を持って向かいましょう。徒歩の場合は、住吉神社の前の道をどんどん上に向かいます。途中の分かれ道で洞窟と反対側に向かえば、日蓮上人の大きな像がある峰の上にも出られます。また、洞窟への道沿いには、夏にはオニユリの花が咲くという円山古墳もあります。

定期洞窟行き登山バス 連絡先 鬼ヶ島観光自動車 電話 087-873-0241

鬼が住んでいた大洞窟

登山バスが山上に到着し、いよいよ洞窟探検に出発です。おにの館でいただいた「鬼ヶ島物語」(柳信三氏著)によると、この洞窟は、昭和5年に男木島の小学校の先生であった橋本仙太郎氏が発見。ここが桃太郎伝説の「鬼ヶ島」であったと全国に紹介され、大勢の観光客が訪れるようになりました。洞窟の面積は4000平方メートル、距離40メートル。学説によれば、近くの円山古墳の遺品は、古墳時代のそれも朝鮮半島産のもの。すでにその時代から女木島の人々は朝鮮半島と交流があったとされています。また、洞窟は、古墳時代以前に住居地として掘られたものと推測され、出口付近にある「亀の甲天井」にもノミの跡が見られます。鉄器が伝来したのは、古墳時代よりさらに古い弥生時代。そこで、そのころに島人が鉄器を使って、この洞窟を掘ったのではないかとか。太古よりの歴史を秘めて、今なお神秘の空気に満ちている大洞窟。真夏でもひんやりとした冷気で、迎えてくれます。

鬼ヶ島観光協会洞窟管理室 電話087-873-0211(無休 8時30分~17時 大人500円)

きびだんごで一服

洞窟の入口付近にあるのが藤井商店。今年の7月で50年になるというおなじみのお土産店。昭和34年に洞窟までの延長道路が完成したのに合わせ、ここにお店を開いたのだそうです。その昔は、洞窟の近くまでは細い山道しかなく、367段の石段を上がって洞窟見学に来ていました。バスが止まっていたのは山の中腹。その近くの畑で草取りをしていたら、バスの運転手さんが、「これからは人がたくさんくるから、このあたりで冷たい飲み物でも売ったらいいよ」と教えてくれ、その言葉がきっかけでお店を開くことになったそうです。いつも「お茶でもどうぞ」と優しい声をかけてくれます。お茶と一緒におすすめのキビだんごやきなこだんごは一皿100円。涼風に吹かれ、眼下に海の風景を眺めながら、一服しましょう。さて、ここの土産物人気ベスト3は、きびだんご・きなこだんご・鬼の置物。桃太郎さんグッズもいろいろあります。沢口靖子さんやDAIGO(ダイゴ)さん、水野真紀さんなど、有名人も立ち寄ったという藤井商店さんでした。

絶景の瀬戸内海

藤井商店さんの手前の石段を上に向かうと、鷲ヶ峰の展望台があります。ここは女木島で一番高い標高188メートル。ぐるっと360度瀬戸内海の絶景を見渡せます。高松の眺めも素晴らしく、屋島や五色台、直島、小豆島も見渡せます。また、女木島の浜の風景も手に取るようで、鬼ヶ島海水浴場もよく見えました。浜辺には防波堤が海に突き出ていますが、ここから海を眺めると爽快(そうかい)な気分になると、おにの館の館長さんが後で教えてくれました。浜で散策する方は、ぜひお試しください。また、この海岸手前には、ビジターバース(1日1係留1680円)もあります。

昭和元年からの男木の宿

バスに乗って再び港に帰り、次は男木島へ出発です。女木島の美しい浜を横目に、船はどんどん男木島に近づきます。男木の港は、せりあがるように民家が建ち並んでいました。その中で、ひときわ目立つ「浜上旅館」さんを訪ねます。  家と家との間をすり抜けるような急な坂道を上がると、浜上旅館さんへの矢印が見え、狭い路地を入るとすぐに入口があります。昭和元年に、先代が1200円で建てたという旅館は、昭和の民宿というより男木のおじいちゃん家(ち)といった雰囲気。窓からは港が望め、潮風が入ってきます。そんな座敷の食卓に並んだのは、ゆでタコ、生タコ、カレイ、タイ、アラエビと盛られた刺身。アラエビの塩ゆで、そら豆、ゲタのから揚げ。夏であれば、マナガツオやヒラメ、スズキなどの刺身、その日仕入れた旬の魚で煮付けやから揚げを作ってくれるそうです。とにかくたっぷり作ってださないと気が済まないというご主人は、今年74歳になる浜上昭さん。旅館業だけではなく、病人やけが人を高松に運ぶ男木島の救急船の船長さんでもあり、男木漁協の魚を魚市場に運搬する仕事もしています。だから、男木で捕れるおいしい魚介類のことはなんでも知っています。また、一番おいしい魚を手に入れることができるのです。「魚は2ヶ月で味ががらっと変わる。一番おいしい時期を選んで食べな、なんにもならん」という浜上さんの夏のおすすめは、7月から9月にコマシアミで捕るマナガツオ、そして7月過ぎから捕れる甘い瀬戸のワタリガニ。 昭和50年ころまでは釣り船も手がけ、海水浴客や釣り客が押し寄せていたそうですが、最近はめっきり宿泊客が少ないという男木。夕日の素晴らしさは言うまでもなく、天気が良ければライトアップした瀬戸大橋も見えます。最近は、二十歳のお孫さんも帰ってきて、たのもしい浜上旅館。素朴な島旅情を味わいに来ませんか。

浜上旅館 電話 087-873-0833

近代文化遺産の灯台

浜上旅館の上には、安産の神様として知られる豊玉姫神社があります。そうした石垣の集落を楽しみながら、島の西側の道に出て、男木島灯台に向かいます。途中には、豆畑や果物畑があり、野の花や海の眺めを楽しみながら約30分。島の北端にある灯台が見えてきました。ここは、映画「喜びも悲しみも幾年月」のロケ地ともなった灯台で、明治28年以来、備讃瀬戸の安全を守ってきました。その建物には庵治石も使われていて文化財的価値も高く、平成15年度の推奨土木遺産の表彰を受け、近代土木遺産Aランクにも認定され、「日本の灯台50選」にも選ばれています。
美しい灯台の姿を見上げながら、当時の灯台守さんの暮らしは大変だったろうなと思っていると、傍らの男木島灯台資料館に灯台や男木島に関する資料がいろいろと展示されていました。9月から6月までは日・祝日のみの開館(事前に予約があれば開館します)ですが、7月~8月は毎日開いています。入場無料ですので、ぜひ見学してみましょう

灯台資料館 電話 087-873-0057 (9時~16時30分)

タンク岩とジイの穴

灯台資料館の裏手は海辺の小公園、ここでキャンプをすることもできます。そこから、山に向かって遊歩道が続きます。タンク岩とか、ジイの穴とかいう不思議な名前につられ遊歩道に入りましたが・・・。ヘビもいるので軽い登山の装備は必要。飲み物もお忘れなく。どんどんと上に登り、途中に周回道路という看板がありましたが、こちらは遊歩道ではありません。下の草むらの中にジイの穴の矢印があるので、見落とさないように。しばらく登りが続いた後、分かれ道があるので、タンク岩の方に入ってみました。少し歩いたところに、「男木島の柱状節理と岩海」の標識があります。昭和51年に高松市の天然記念物に指定された柱状節理は、讃岐岩質オリーブ石玄武岩、今から500万年くらい前に噴出したもので、頂上部には通称タンク岩があり、周囲には柱状節理の崩壊物が堆積した岩海があります。その面積は33アールにも及ぶそうです。これを読んではりきって進みましたが、タンク岩の下はまさにがれきの海、足元が悪く、近づくことはおすすめできません。
その後、分かれ道に戻って、今度はジイの穴に向かいます。道は一度下り、再び登りに転じ、やがて展望台が見えてきます。ここからの眺めは素晴らしく、額縁の中の瀬戸内海を鑑賞しているようでした。ジイの穴は、このすぐ上。伝説によると、桃太郎が女木島に攻め込んだとき、鬼の副大将が逃げ込んだとか。その後、急峻な坂道を降りて島の西側の道に、再び港付近に帰ってきます。

島のひしおで讃岐うどん

男木港近くの集落で、次に訪れたのは円(まどか)さん。平成15年にオープンし、当初は食堂のみでしたが、現在は宿泊(1日1グループ10人まで)もできるようになりました。男木の地魚料理や地たこのてんぷらはもちろん、島の食堂の役目を担っているので、ここのメニューはバラエティーに富んでいます。例えば、お好み焼きやうどん焼き、そば焼き、豚カツ定食、焼肉定食、鶏からあげ定食、カレーライスもあります。そして、幻の島うどんと言われているのが、“名物ひしおのぶっかけ”。2日前までに予約が必要ですが、ご主人が打った麺に、男木島伝統の“ひしお”がのり、これをかき混ぜて食べるというもの。この“ひしお”は麦味噌のようなおかず味噌で、ごはんに添えたり、焼き魚につけたりして食べているそうです。少し、クセがありますが、大葉の刻んだ物が入り、そのさわやかさと相まって、あっという間に食べてしまいました。“ひしお”の主な原料は、大麦・エンドウ豆・大豆・南京豆・米麹・おちらし・塩という複雑なもの。これは、一度ぜひお試しください。また、ここでは運が良ければテラス席に足湯が用意されています。ここから眺める夕日がまた最高。心の底から島旅情を味わえます。

円 電話087-873-0703 (水曜定休/9時~19時)

この夏は、美しい瀬戸内海と伝説を訪ねて、女木島・男木島の旅を楽しんでみませんか。
鬼ヶ島観光協会 電話087-840-9055/高松市役所男木出張所 電話087-873-0001